この記事では茨城県にある笠間ボルダーの紹介をしていきます。
所在地
茨城県中部に位置する笠間市の佐白山にボルダーが転がっています。佐白山には笠間城跡があり観光客が訪れますが、ボルダー自体は森の中にあるので、観光客とはあまり顔を合わせません。
アクセス
電車
電車で行く場合は、JR水戸線の笠間駅で下車します。笠間市街を通り抜けて、佐白山を目指します。
岩場までは徒歩で1時間くらいの道のりです。
自動車
車で行く場合は、駐車場がいくつかあります。
メインのクライミングエリアに最も近い千人溜駐車場は、2019年の台風の影響で封鎖されていましたが、2020年11月現在は解除されています。
大黒石(登攀禁止)のすぐ下には砂利の駐車場があります。
千人溜駐車場は観光客を優先して、こちらに停めることをおすすめします。この駐車場は地元クライマーが地権者、市役所と交渉をしてクライマーの使用を許可してもらっていますので、大切に使いましょう。
すぐ近くの笠間つつじ公園で毎年4月から5月にかけて行われるつつじ祭りの時期には、この駐車場はシャトルバスの停車場になりますので、他の駐車場の利用をお願いします。
日動美術館近くの公営駐車場はトイレもついており、台数も多く停められます。クライミングエリアまでは少し歩きますが、他の駐車場が空いていないときはこちらがいいでしょう。
基本情報
開拓
1970年代から地元のクライマーによって開拓されており、古い岩場になります。御岳同様に、室井登喜男氏によるトポ「小川山 御岳 三峰 ボルダー図集」通称「黒本」によってその名が広がっていきました。
環境
岩質は花崗岩で、河原のボルダーとは違って磨かれておらず、フリクションがあります。標高は高くなくめったに雪も降らないので、冬でも登ることができます。
ヒップ岩周辺の木の根元には、蜂が巣を作ることもあるので注意が必要です。うるま岩周辺は水が溜まりやすく、蚊など虫が発生しやすいので虫よけをもっていくといいと思います。
笠間城跡
クライミングエリアは佐白山の山腹にあります。この佐白山は鎌倉時代に笠間城が築城され、明治時代初めまで城がありました。今は天守閣の跡が残るのみです。
ギル岩の上の展望広場には、たまに笠間城跡への観光客が来るので、声のボリュームをさげるなど、お互いに気を使った行動を心がけましょう。
笠間稲荷
笠間には日本三大稲荷の一つに数えられる、笠間稲荷神社があり、エリアからも近いです。秋には菊祭りが開催されるなど観光地でもあり、人手が多くなるので、クライミングに訪れる際は駐車や車の運転などに気を付けましょう。
主な課題
石器人スラブ
その名のとおりの特徴的な形状の、すぱっと切れた断面のような石器人岩。その中央をまっすぐ上がっていく「石器人スラブ中央」(初段)はまさに足で立つ課題で、スラブ上級者への登竜門的一本です。
シンプル&ディープ
「シンプル&ディープ」(初段)は、シンプル岩の特徴的なダイクを使ったラインです。左手を出して右足を上げる、ただそれだけがとても難しい課題です。ホールドする場所や、足の場所が少し違うだけで全然できなくなります。まさに「シンプル&ディープ」。
エ・モーション
「エ・モーション」(初段)は「シンプル&ディープ」のすぐ横にある課題です。少しでも壁から離されると登れません。マントルも悪く、リップをとっても気が抜けません。
ワシントン倶楽部
シンプル岩から少し下がったところにあるのが、「ワシントン倶楽部」(二級)です。岩のフリクション全開で体を引き上げて登る、まさに花崗岩クライミングといった課題です。
ハング・マン
「ハング・マン」(二級)はマントルだけのシンプルな課題ですが、これぞ笠間のマントルといった難しさがあります。
「ハング・マン」の下部からシットダウンスタートをする「Q番」(二段)は、保持力とタイミングが重要な課題で、上級者でも苦戦するラインです。
モラン
「ハング・マン」の下にあるヒップ岩には、笠間には珍しいジムナスティックな課題がいくつかあります。「モラン」(初段)はヒールをかけながら甘いカチで耐える瞬間がかなり緊張し、メンタルが試されます。他にも「ブラックサンダー」(初/二段)や「色(siki)」(二段)などがあります。
下地は木の根っこが露出しているので、着地には十分気を付けてください。
うるま
山の斜面を下り、車道を渡ってさらに下のほうには珊瑚岩があります。「うるま」(初段)や「樹海」(初段)といった課題があり、笠間には珍しい強傾斜クライミングが楽しめます。
ちなみに大黒石は現在登攀禁止となっていますのでご注意ください。
おすすめ飲食
笠間稲荷周辺は観光地だけあって多くの飲食店があります。笠間で有名なのが笠間いなり寿司です。これはくるみが入っていたり、お米の代わりにそばを油揚げで包んだりした変わり種のお寿司です。
独特の食感で普段のおいなりさんとは違ったおいしさです。稲荷神社周辺の多くのお店で食べられますので、ぜひ試してみてください。
・そば処のざわ
クライミングエリアからは少し離れますが、国道50号を筑西方面に行ったところにある「そば処のざわ」のそばもおいしくておすすめです。
以上笠間ボルダーの紹介でした。冬の間でも登れて、花崗岩クライミングの醍醐味を味わえる岩場です。アプローチも比較的楽ですし、高さのない岩も多いのでぜひ行ってみてはいかがでしょうか。
参考元
- 「小川山 御岳 三峰 ボルダー図集」 通称「黒本」 室井登喜男編
- 「フリークライミング日本100岩場2関東」山と渓谷社
- 「日本ボルダリングエリア 上」山と渓谷社