今回はダンベルでできる上腕二頭筋のトレーニングを紹介します。上腕二頭筋はクライミングにおいては体を引き付けたり、上体をロックしたりするときに使う重要な筋肉です。
上腕二頭筋の解剖学
上腕二頭筋は肩関節と肘関節をまたいでいる多関節筋です。
上腕二頭筋という名前のとおり、筋頭が二つに分かれており、体に近いほうを短頭、遠いほうを長頭といいます。
長頭は肩甲骨上部を起始としており、短頭は肩甲骨の烏口突起というところをを起始としています。下にいくと長頭と短頭はつながり、前腕に停止しています。
上腕二頭筋の役割
上腕二頭筋の働きには、肘関節の屈曲、前腕の回外、肩関節の屈曲、肩関節の水平屈曲があります。
肘関節の屈曲は、腕を曲げて力こぶを作る動作です。
前腕の回外は、手のひらが上を向くように腕をひねる動作です。
肩関節の屈曲は、体の横につけた腕を、前から上に振り上げる動作です。
肩関節の水平屈曲は、腕を横に広げた状態から、顔の前に水平に回す動作です。
クライミング動作での使用例
上記で上腕二頭筋の役割を解説しましたが、実際のクライミングのムーブではどう使われているでしょうか。
まずは、代表的なムーブは肘を曲げて体を持ち上げたり、ロックして保持するときに使われます。
また、肩によるプッシュで体を持ち上げるときは、肩関節の伸展動作になりますが、このとき上腕三頭筋が働きます。その拮抗筋として上腕二頭筋が作用することで、安定した動作が可能となります。
別のムーブとして、正体で順手でホールドを保持する際は、前腕を回内させます。このとき上腕二頭筋は拮抗筋として働きホールドを安定して保持することができます。
以上のようにクライミングのムーブにおいて、上腕二頭筋は実に様々な役割を担っていることがわかります。
ダンベルを使った筋トレ
それでは自宅でもできるダンベルを使った、上腕二頭筋を鍛える種目として最もシンプルなダンベルカールを紹介します。
ダンベルを持った腕を下げ、手のひらが内側を向く状態から始めます。そこから、手首を外側にひねるようにしながら、肘を曲げてダンベルを上げていきます。ここで、手首をひねることで、上腕二頭筋の作用である、前腕の回外が行われるので、より筋肉が収縮する効果が期待できます。
筋肥大を目指すのであれば10回できる重量を2~3セット実施しましょう。筋肥大が十分であると考え、筋力を向上させることが目的であれば3~5回できる重量を2~3セット実施しましょう。
ジムであればベンチを45度程度傾けて、そこに仰向けになって実施するインクラインダンベルカールが効果的です。腕を下におろしたときに上腕二頭筋がストレッチされることで、筋肉への刺激が大きくなります。
以上、上腕二頭筋を鍛える筋トレについて紹介してきました。筋肉の付き方や役割を意識しながらトレーニングができると、より筋トレの効果が上がります。クライミングで体を引き付ける力が物足りないと感じる方は、上腕二頭筋の筋トレを取り入れてみてください。
参考元
「プロが教える 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典」 ナツメ社
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