クライミングのための筋トレ vol.1

Training
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みなさんはクライミングを上達させるためにどんなトレーニングをしているでしょうか。ひたすら登り込むという方もいれば、腕立て伏せやプランクといった筋トレ、自重トレーニングを取り入れている方もいるでしょう。

ここではまず、トレーニングにおいて基礎となる考え方を解説していきたいと思います。

パフォーマンスのピラミッド

クライミングに限らず、あらゆるスポーツにおいてそのパフォーマンスに影響を与える要素は、次のピラミッドのようにあらわされます。

パフォーマンスのピラミッド

パフォーマンスを発揮するうえでベースとなる下の階層から順番に説明していきます。

アライメント

アライメントはバランス感覚や柔軟性など、全身の協調性のもととなるものです。体のしなやかな動きや広い可動域を可能にすることで、フィジカルやスキルの向上につながるととともに、けがをしにくい体が得られます。

クライミングにおいてはハイステップでの足上げや、ヒールフックやキョンなどムーブの引き出しが多くなります。さらに体の一部に負荷をかけずに全身を使って登れるようになるため、けがの予防につながります。

フィジカル

フィジカルは筋肉の強さそのものです。筋肉の強さといっても、素早く力が発揮できるのか、ゆっくりでも大きな力が発揮できるのかなど、筋肉の特性やトレーニングの成果によって引き出される能力が異なります。

クライミングにおいては指の強さであったり、腕による体の引き付けの強さであったり、ランジでの足の強さなど、筋力がベースとなっています。

スキル

スキルはテクニックであり、スポーツの動作のうまさのことを言います。対象とするものや相手に対して、脳が命令を出し、正確かつ素早く無駄なく全身の筋肉を連動させる能力です。

クライミングにおいては多くのムーブを習得し、またムーブを正確かつ無駄のない動きで再現できる能力です。

タクティクス

タクティクスとは戦術のことで、スポーツにおいては勝つために個人、チームの肉体的、精神的な能力を総合的かつ高度に連携させることを言います。

クライミングにおいてはコンペでオブザーベーションを行って複数のムーブから最適なものを選択することや、次の課題に向けてあえて今の課題を捨てる決断をするなど、多くの経験や判断を必要とするものです。

桶(オケ)の理論

スポーツのパフォーマンスの総合的な能力を模式的に表現する方法として、桶の理論というものがあります。

弱点の認識

一番低い板から水がもれる

個々の能力を桶の一枚一枚の板と考えます。もし上の絵の左側のように、長さがばらばらの桶に水を灌ぐと、右の絵のように最も低い板から水がこぼれます。つまり一番の弱点で、水をためるという桶の性能が決まってしまうということです。

これをスポーツのパフォーマンスに置き換えると、下の絵のように表現できます。

パフォーマンスの桶

アライメントやスキルなどの能力が十分にあるにも関わらず、フィジカルが弱いために目的の課題が登れないことになります。この弱点を認識することが重要となります。

パフォーマンス向上のための筋トレ

この桶の理論はさらに細かく分類できます。

筋力の桶

例えばある課題を登るのに対して、体の部位ごとの筋力が足りているかどうかを考えます。上の絵の場合では、指の保持力や腹筋での姿勢の維持などはできているけど、腕の引き付けが弱いことが分かります。つまり腕を集中的に鍛えれば、より効率よく課題を登れることになります。

以上のように、クライミングのパフォーマンスに影響を与える要因を理解して、自分の弱点を認識することができれば、どこを鍛えればいいのか知ることができます。もしあなたが筋力不足によって課題が登れていない場合、筋トレによってきれいな桶を完成させ、クライミング全体のパフォーマンスを向上させることが可能になるのです。

ではまた次回の記事で!

参考元

  • 「パフォーマンスロッククライミング」山と渓谷社
  • 「コンペで勝つ!スポーツクライミング上達法」山と渓谷社


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