今回はダンベルでできる前腕のトレーニングを紹介します。
前腕には多くの筋肉があり、主に手首を曲げる動作に使われる前腕屈筋群と、手首を反らせるときに使われる前腕伸筋群からなります。この前腕の筋肉はクライミングにおいては体を引き付けたり、上体をロックしたりするときに使う重要な筋肉です。

今回は特に尺側手根屈筋、尺側手根伸筋と腕橈骨筋の構造とそれらを鍛えるトレーニングについて紹介していきます。
尺側手根屈筋・伸筋・腕橈骨筋の解剖学
今回紹介する筋肉のうち、尺側手根屈筋、尺側手根伸筋は肘関節と手首の関節をまたぐ多関節筋です。
それに対して、腕橈骨筋は肘関節のみをまたぐ単関節筋です。

尺側手根屈筋は前腕の尺骨側(小指側にある骨)を通っており、肘関節と手首をまたぐ二関節筋です。上腕骨の内側(内側上顆)を起始としており、手の付け根(小指側)に停止しています。

尺側主根伸筋は尺側手根屈筋と同様に前腕の尺骨側を通っていますが、手の甲側を走っています。上腕骨の外側(外側上顆)を起始部として、小指の付け根の手の甲側に停止しています。
腕橈骨筋は肘関節をまたぐのみで、手首の動きには関与しません。上腕骨の外側上顆の少し上のあたりを起始部として、橈骨の先端近くに停止しています。
尺側手根屈筋・伸筋・腕橈骨筋の役割
尺側手根屈筋の働きには、手関節の尺屈と掌屈があります。
尺側手根伸筋の働きには、手関節の尺屈と背屈があります。

手関節の尺屈は手首を小指側に曲げる動きです。

手関節の掌屈は手首を手のひら側に曲げておいでをするような動きです。背屈は逆に手の甲側に手首を曲げる動作です。
腕橈骨筋の働きには肘関節の屈曲、前腕の回外と回内があります。

肘関節の屈曲は、腕を曲げて力こぶを作る動作です。

前腕の回外は、手のひらが上を向くように腕をひねる動作です。回内は逆の方向に腕をひねります。
クライミング動作での使用例
上記で前腕の筋肉の役割をいくつか解説しましたが、実際のクライミングのムーブではどう使われているでしょうか。
代表的なムーブとしては肘を曲げて体を持ち上げたり、ロックして保持するときに使われます。

肘を曲げるときにはもちろん上腕二頭筋や上腕筋が使われますが、腕橈骨筋も使われます。
また、クライミングのほとんどのムーブにおいて、手首の掌屈が行われます。ホールドを引き付ける場面やプッシュする時には手首を曲げて力を発揮します。このとき尺側手根屈筋が使われますが、拮抗筋として尺側主根伸筋も重要な役割があります。
さらに上の写真のように右手で保持をして左上に進む場合、右手の手首を右下に曲げて力をこめる形になります。これは手首の尺屈の動作になります。しっかり手を固定することで、安定してムーブを起こすことができます。
以上のようにクライミングのムーブにおいて、前腕の筋肉は実に様々な役割を担っていることがわかります。
ダンベルを使った筋トレ
それでは自宅でもできるダンベルを使った、前腕を鍛える種目を紹介します。
リストカール
尺側手根屈筋を鍛える筋トレとして手首を曲げる掌屈動作をするリストカールがあります。
ダンベルを持った腕をベンチなどにつけ、、手のひらが上側を向く状態から始めます。そこから、手首を曲げてダンベルを上げていきます。ダンベルを下げるときはしっかりと手首を反らせてストレッチをかけましょう。
筋肉が緊張している時間をTUT(Time Under Tension)と言いますが、リストカールは動きが小さくTUTが短いので多くの回数をこなすほうが効果的です。20回~30回程度できる重量のダンベルを持って実施しましょう。
リバースリストカール
尺側主根伸筋を鍛える筋トレとして、手首を反らせる背屈動作をするリバースリストカールがあります。
リストカールとは逆で、手のひらが下に向くように腕をベンチに乗せます。そこから手首を反らしてダンベルを上にあげます。ダンベルを下げるときしっかりストレッチさせるようにしましょう。
回数についてはリストカールと同様に20回~30回程度できる回数を2~3セット行いましょう。
ハンマーカール
続いて腕橈骨筋を鍛える種目としてハンマーカールを紹介します。これはダンベルを持ち上げて肘を曲げるトレーニングです。

ダンベルを持った腕を下げ、手のひらが内側を向く状態から始めます。そこから、肘を曲げてダンベルを持ち上げていきます。ここで、手首をひねらず、手のひらを内側にしたままにすることで、上腕二頭筋の関与を減らすことができます。
筋肥大を目指すのであれば10回できる重量を2~3セット実施しましょう。筋肥大が十分であると考え、筋力を向上させることが目的であれば3~5回できる重量を2~3セット実施しましょう。
以上、前腕の筋肉を鍛える筋トレについて紹介してきました。クライマーと言えば前腕が太いというイメージがあるほど特徴的な筋肉です。怪我には十分注意しながら、積極的に鍛えてみてはいかがでしょうか。
参考元
「プロが教える 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典」 ナツメ社