クライミングのための筋トレ ユニラテラルとバイラテラル

Training
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今回はあまり聞き馴染みのない「ユニラテラル」と「バイラテラル」という言葉について紹介します。

どちらもトレーニングの動作に関する用語ですが、その特徴とトレーニングで意識すべき点、クライミングでの取り入れ方を解説します。

ユニラテラルとバイラテラル

ユニラテラル(unilateral)とは日本語で「片側」という意味です。それに対してバイラテラル(bilateral)とは「両側」を意味しています。

ユニラテラルの「ユニ」はユニコーンのユニと同じで、ひとつのものを表します。バイラテラルのバイは自転車(バイシクル)のバイと同じで、二つのものを表します。つまりユニラテラルでは片手や片足の動作を、バイラテラルでは両手や両足を使った動作のことを言います。

具体的なトレーニングとしてアームカールを例に説明していきます。

片手にダンベルを持ち、肘を曲げてウエイトを持ち上げるワンハンドダンベルカールは、片腕ずつ力を発揮するユニラテラルな動作です。

それに対して両手でバーベルを持ち、両腕を曲げていくバーベルアームカールはバイラテラルな運動です。

この時両腕は同じ重量を同じタイミングで、同じ軌道で動かしていることになります。

背中の種目でいうとデッドリフトは両手でバーベルを持ち上げるのでバイラテラルですが、ワンハンドダンベルローイングは片手でウエイトを持ち上げているのでユニラテラルな運動ということになります。

ユニラテラルの特徴

ユニラテラルな動作で実施するトレーニングの特徴は以下のようなものがあります。

  • 片側に意識を集中させることができる
  • 重量を扱うことができる
  • 可動域が広く取れる

一つ目の特徴として、片側に集中できるのでより筋肉に効かせることができます。例えば両手を同時に動かすときはそれぞれの手に意識がいきますので、神経の伝達が分散されることになります。その分動かしたいそれぞれの手の動作の精度は下がり、鍛えたい筋肉への負荷が減ることになります。

これとは逆に片手だけの動作をする場合は100%の意識をその腕だけに注ぐことができますので、対象の筋肉への刺激を大きくすることができます。

二つ目の特徴は一つ目とも関係しますが、両側で扱う重量の半分以上の大きい負荷を扱うことができます。片側への神経伝達を集中させることによって、扱う重量も大きくすることができます。

三つ目の特徴としては、バイラテラルな動作ではできない可動域で動かせるというものがあります。例えばバーベルを使ったベンチプレスでは、バーベルを下げたときにどうしてもバーベルが胸に当たってそれ以上下げることができません。

それに対してダンベルを使ってベンチプレスを実施すれば、より手を下におろすことができます。可動域が広がることによって、筋肉の収縮、伸展の範囲が広がり、より筋肉への物理的刺激を高めることができます。

バイラテラルの特徴

両手や両足を同じ動作で使うバイラテラルトレーニングの特徴は以下のようなものがあります。

  • 安定した動作をすることができる
  • 左右のバランスをとることができる

まずはウエイトを両腕や両足で支えることができるので、安定した動作が可能であることが特徴です。

片腕で重いダンベルを持つと結構ふらふらするものですが、両手でバーベルを持つことで、ふらつかないようにウエイトを動かすことができ、これによって筋肉への刺激の増大怪我の低減へとつながります。

また、両側で同じ動作を行うことで左右のバランスをとることができます。ユニラテラルなトレーニングだとどうしても左右で軌道が異なったり、他の筋肉を動員して楽をしようとしてしまいます。

それに対してバイラテラルなトレーニングでは両手や両足でしっかりとウエイトを支えるので、バランスがとりやすく、負荷を均等に与えやすいです。

筋力の左右差がある場合でも、バイラテラルなトレーニングで修正する方が怪我もなく効果的です。例えばベンチプレスであれば持つ位置を少しずらすなどすればコントロールしやすいです。

このバイラテラルな動作の特徴として、ユニラテラルな動作の時よりも扱える負荷が小さくなってしまうことが挙げられます。これは片手で行うワンハンドアームカールで扱う重量の2倍の重さのバーベルを、両手で行うバーベルカールでは持ち上げることが普通はできないというものです。

しかしそれもバイラテラルな動作で両手で同時に筋力を発揮するトレーニングを実施することで差を埋めることが可能です。

クライミングの動作への適用

ここまでユニラテラルとバイラテラルな動作について説明してきましたが、実際のクライミングのムーブではどのような動作に当てはまるでしょうか。

基本はユニラテラルな動作ですが、変速的なバイラテラルな運動だと言えます。

クライミングの基本姿勢としてよく「三点支持」という言葉がでてきます。次のホールドを取りにいくときは、両足をつけ、片手は今のホールドを保持しながら引きつけ、もう片方の手は離している状態です。つまり片腕のみの動作で登るということが基本になるので、クライミングではユニラテラルな動作がメインです。

一方でクライミングのムーブの中で片手を離す瞬間は一瞬で、離すまでの両手で引きつける動作、ホールドをつかんで保持した後、体勢を安定させるまでの動作では両手を使います。この時はバイラテラルな動作に思えますが、両手のホールドが全く同じ大きさ、向き、距離にあることはほとんどありません

つまり両手で保持している間も左右で異なる動作、ユニラテラルな動作を同時に行なっていると考えるのがいいと思います。

片手は引きつけて、もう片方の手はプッシュするような動作が多いと考えられます。

クライミングのパフォーマンスを上げるために筋力のトレーニングをするときには、ユニラテラルなトレーニングを行なって、筋力の効率的な向上片側の筋肉の使い方の習熟を目的とするといいでしょう。

クライミング特有の変則的なバイラテラルな動作を上達させるためには、スキルのトレーニングが有効ですので、クライミング動作の反復練習などを実施することをおすすめします。


以上ユニラテラルとバイラテラルという動作について紹介してきました。聞き馴染みのない言葉でしたが、クライミングと関連づけ、それぞれの伸ばしたいところを意識して、特性に合わせたトレーニングとして取り入れてみてはいかがでしょうか。

参考元

  • 「プロが教える 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典」 ナツメ社
  • 「石井直方の筋肉の科学」ベースボール・マガジン社

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