今回は筋トレでのセットと次のセットの間の時間であるインターバルの目的と取り方について紹介します。
インターバルはクライミングではトライと次のトライの間のレストをする時間になります。その時間での回復のさせ方、次のトライへの準備について紹介します。
インターバルの目的
トレーニングのセット間でインターバルをとる目的は以下のようなものがあります。
- 呼吸を整える
- 血流を整える
- エネルギーの回復を促す
呼吸を整える
インターバルをとる一つ目の目的として、トレーニングによって乱れた呼吸を整えることが挙げられます。
トレーニングを実施すると呼吸が乱れますが、そのままトレーニングを連続して行なってしまいますと、力が入らないだけでなく、ウエイトがふらついて軌道が安定しません。
これにより負荷が逃げてしまって対象とする筋肉への刺激が弱まってしまいます。それだけでなく不安定な動作となることで怪我にもつながってしまいます。
呼吸を整えることで、十分なパワーを発揮させることができ、対象とする筋肉に集中したトレーニングを実施することができます。
血流を整える
また、筋肉に流れる血流を整える役割もインターバルにはあります。
トレーニングを実施すると、筋肉へ栄養を運搬しようとするのと同時に、筋肉内の疲労物質を除去しようと血流が増大します。
そうするとパンプ感が得られ、トレーニングの効果を実感できますが、それと同時に筋肉内の細胞の環境も悪化してパワーを発揮できなくなります。
これに対してインターバルをとることで、血流を整えることでパンプが収まり、力を出せるようになり、トレーニングの効果を向上させることができます。
エネルギーの回復を促す
最後にインターバルの目的としてエネルギーの回復を促すことが挙げられます。
ここでエネルギーと言っているのは、力発揮の源となるグリコーゲンやクレアチンなど、ATPの反応の材料となるものです。
上記の血流の増大とも関係しますが、トレーニングを実施すると筋肉中のグリコーゲンやクレアチンなどが利用されて、エネルギーが枯渇します。次に筋肉を動かすためには、これらATP回路のエネルギー源を回復させてやる必要があります。
以上で紹介してきたように、インターバルを取ることは基本的はこれら3つの効果を期待できますが、あえてインターバルを取らないで連続的にトレーニングを実施し、化学的な刺激を増やして追い込む方法も一つの手段としてあります。
スーパーセットやジャイアントセットなどと呼ばれる、複数の種目を連続で行う方法がそれに該当しますが、上級者向けのトレーニング方法です。
今回は通常のインターバルをとりながらのトレーニングの方法について紹介していきます。
インターバルの長さとトレーニングの効果
トレーニングの種類によってインターバルの取り方を変えると、その効果が変わってきます。
ここでは負荷の強さ毎におすすめのインターバルの取り方を紹介します。
高負荷のトレーニングの場合
1RMの80%〜90%の重たい負荷を扱う場合のトレーニングでは、3分〜5分のインターバルをとるといいでしょう。
このような高強度のトレーニングでは、筋肉や関節に強い負荷がかかり、物理的な刺激が大きいです。呼吸の乱れも大きく、興奮状態にあるといえます。
瞬発的なエネルギーを多く消費しているので、次のセットに向けて十分に栄養を回復させる必要があります。
また、1セット後に十分な休みがないと、集中が欠けたままで次のセットに行くことになり、結果ウエイトをうまく扱えず怪我の原因となってしまいます。
したがって高負荷でのトレーニングではインターバルを十分な時間とり、エネルギーを回復させると同時に集中力を高めてパフォーマンスを発揮できるようにしましょう。
中負荷のトレーニングの場合
筋肥大を目的とする場合、1RMの60%〜80%の中程度の負荷でトレーニングを実施します。
このとき10回くらいウエイトを挙上するようにセットを組むのが一般的ですが、このトレーニングでは筋肉への物理的なストレスと化学的なストレスの両方を与えることで、筋肉の成長を促します。
この中負荷のトレーニングではインターバルを1〜3分程度とることをおすすめします。高強度のトレーニングと比べると呼吸の乱れは早く治りますし、グリコーゲンの回復も十分です。
ここでインターバルを開けすぎると、筋肉の化学的環境が元に戻ってしまい、中負荷トレーニングとしても効果が十分に得られません。
したがって1〜3分程度のインターバルでセットを組むことで、トレーニング全体の効果を向上させることができます。
低負荷のトレーニングの場合
筋持久力の向上や、化学的刺激による筋肥大を目的とした低負荷のトレーニングの場合、インターバルは1分程度でいいでしょう。
低負荷のトレーニングでは、筋肉細胞内の環境が酸性に傾くことで、それを中和しようと水分が流れ込んでパンプが発生し、パワーが落ちます。
この刺激によって筋肥大などの効果が得られますので、あえて筋肉細胞内の環境が悪いまま次のセットに行くことでより効果を高めることができます。
したがって低負荷トレーニングではある程度呼吸が整ったところで次のセットに進みましょう。
クライミングのインターバル
これまで筋トレとしてのインターバルの考え方を紹介してきましたが、クライミングに応用する場合はどう考えればいいでしょうか。
本気トライのとき
最高グレードの更新を狙うときや、限界ぎりぎりのグレードの課題をトライする場合、強度の高いムーブを実施したり、筋持久力が要求されます。強度の高いトライ後は筋肉や関節への物理的ダメージが残ります。持久力系の課題の時は、筋細胞の環境の悪化と疲労によってパンプが起こり、エネルギー不足が起こっているはずです。
次のトライに向けては、筋肉や関節へのダメージを修復させ、エネルギーを回復し、パワーが発揮できように筋細胞の環境を改善する必要があります。したがってインターバルとして5分以上間を開けて回復を促すと効果的です。
特にリードの場合長時間にわたって筋肉に負荷がかかっていますから、筋細胞の環境が悪化してパンプが発生します。パンプが収まるのには時間がかかりますので、次のトライでパフォーマンスを発揮するためにはしっかりとインターバルをとることが重要です。
トレーニングとして行う場合
本気トライではなくトレーニングとして、クライミングパフォーマンスの向上、ベースの筋力や筋持久力の向上を目的とする場合は、1分から3分程度のインターバルで十分です。
トライを終えた後、呼吸を整え、パンプ感がある程度冷めた状態で次のトライを実施するといいでしょう。この状態でもスキルが向上し、課題に体が慣れて、ムーブの精度が上がって完登できる場合もあります。
その日は完登できなくても、次の日以降にトライした場合到達点が上がって完登できたり、保持力が増している可能性がありますので、長い目で見てトライをすることが重要です。
以上筋トレとクライミングのインターバルについて紹介しました。その時々の目的に合わせてインターバルの長さを選択し、効果的にトレーニング、クライミングのトライをしていきましょう。
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