最初に取り上げるエリアは東京の御岳です。もはや紹介不要なくらい有名で、ボルダリングのメッカと言ってもいいでしょう。シーズン週末にはたくさんのマットが敷きつめられ、多くの人で賑わいます。それでは紹介のスタートです。
概要
所在地
東京都の西側、青梅市に位置し、多摩川の上流にエリアが存在しています。ボルダーは多摩川に沿って点在し、上流の神路橋から、沢井駅直下の楓橋までの河原に広がっています。
エリア概要
上流は「デッドエンド」(一級)や「魅惑の丸こんにゃく」(二段)などがあり、発電所からのアプローチが近いです。
そこから下ってくると、御岳小橋周辺には「ピンチ・オーバーハング」(二段)や「水際カンテ」(二段)があります。ここにはすべり台岩など初心者にも取り付きやすいボルダーがあったり、御岳駅の直下ということでアプローチも楽なのでアップに最適で、河原も広くて快適に過ごせます。
さらに下流へ行くと「忍者返し」や「蟹」「虫」を擁する忍者岩や、「鵜の瀬大トラバース」(二段)など高難度課題を有する岩が転がっています。(「忍者返し」「蟹」「虫」はチッピングされたためグレード不明)
最下流の楓橋近辺には「エゴイスト」(初段)や「In Tokyo!」(三段)を有するロッキーボルダーがあります。
これだけ量も質も充実したエリアが、東京都内の快適なアプローチの中にあるというのは奇跡としかいいようがありません。春や秋の快適な気候の週末ともなると、ジムかと思うばかりのクライマーでごった返すのもうなづけます。クライマーであれば一度は訪れておきたい場所です。
アクセス
交通アクセスとしては、電車か車がメインです。
電車
電車の場合、JR青梅線の御岳駅か沢井駅で降ります。ロッキーボルダーを目指すなら沢井駅がおすすめですが、それ以外のエリアは御岳駅で下車がおすすめです。電車は30分に一本くらいなので、乗り遅れないように気を付けてください。
自動車
車で行く場合、駐車場は有料、無料のものがいくつかあります。櫛かんざし美術館上の寒山寺駐車場は無料で、ロッキーボルダーが近く、トイレもついています。
発電所近くの御岳苑地駐車場は通常は有料ですが、冬季(12月〜2月くらい)は無料で解放されているので、クライミングのシーズンには丁度いいでしょう。
青梅市御岳交流センターの駐車場は御岳小橋のエリアに最も近いです。有料ですが冬は無料になります。季節によって変わりますが、夕方にゲートが閉まってしまうので、ご利用には注意ください。
台風の影響
2019年の台風によりいくつかの課題が消滅しました。例えば上流の千尋岩は流されてオリジナルのラインは消滅しましたが、ホールドを選べば新しい課題として登ることができます。
また、御岳小橋が流されてしまい、対岸へのアプローチが少し大変になりました。対岸に渡りたい場合は、御岳橋まで上がるか、鵜ノ瀬橋から回り込む必要があります。
遊歩道も崩れているところもあるので、足元には気をつけて移動しましょう。一刻も早くエリア全体が復旧することを祈るばかりです。
基本情報
開拓
御岳は池田功氏らによって開拓され、草野俊達氏により「蟹」や「虫」などの高難度が初登されました。室井登喜男氏によるトポ「小川山 御岳 三峰 ボルダー図集」通称黒本によって、その存在をクライミング界に広められました。御岳はボルダリングのメッカと行っても差し支えない、日本クライミング史の中でも重要な役割を担った岩場です。
「忍者返し」は一級のスタンダードとして、ボルダリングの基準、根幹としての存在を確固たるものとしていました。その課題がチッピングされてしまったことは、非常に残念としか言いようがありません。
しかしそれでも残された課題には登るべき課題も多く残っています。御岳という岩場が、ボルダリングの発展の端緒となったことは言うまでもないでしょう。
観光地としての御岳
御岳の一帯は釣りがよく行われ、多くの釣り客も訪れます。また、ラフティングも盛んに行われており、カヌーについては貴重な練習場となっています。また、ハイカーなどの観光客も多いので、クライミングをしに行く際は周囲に気を配って行動することを心がけましょう。
環境
水流で磨かれている岩も多く、岩質はチャートに石灰岩が混じっており、少しの手汗ですっぽ抜けることがあります。ほとんどの課題は安定しているので欠けることはないと思いますが、細心の注意を払ってください。
河原ということもあり虫が出るので、虫除けなどもあったほうがいいでしょう。ごく稀にクマが山から降りてくることもありますが、その際は刺激をしないようにするほかありませんね。運を天に任せましょう。
レンタルマット
御岳駅から降りて左側に少し歩くとMaunga 御岳本店というアウトドア用品店があり、そこでマットを借りることもできます。車がない、電車でマットを運ぶのがためらわれると言った方にはおすすめです。1枚1日1000円で借りられるので、追加のマットとして借りるのもいいでしょう。
以上御岳の概要を紹介してきました。書きたいことが多すぎて長くなったので次回に続きます!
参考元
- 「小川山 御岳 三峰 ボルダー図集」 通称「黒本」 室井登喜男編
- 「フリークライミング日本100岩場2関東」山と渓谷社
- 「日本ボルダリングエリア 上」山と渓谷社
- 「御岳ボルダリングエリアガイド」ダイホールド
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