基本情報
開拓
小川山は昔からクライマーのメッカとして多くの人が訪れる場所でした。
その拠点となる廻り目平を囲むように並ぶ岩峰を登るクライマーが、ウォームアップとして途中にある岩を登っていたのが小川山ボルダリングの始まりです。そこからボルダリングのみを目的として訪れるクライマーも増え、今では週末になると多くの人で賑わいます。
環境
長野県と山梨県の県境に位置する金峰山の一部がクライミングエリアになります。山全体が花崗岩でできており、白い岩峰が屹立する姿は遠くから見ることもでき圧巻の景色です。
石楠花エリアなど川沿いのエリアは増水により磨かれた岩もありますが、ほとんどの岩はフリクションがしっかりしています。安定しているのであまり欠けることもありません。
金峰山荘・廻り目平キャンプ場
小川山でのクライミングの拠点としては、金峰山荘とそこに併設する廻り目平キャンプ場があります。泊まりで行く場合は宿泊してみるといいでしょう。
金峰山荘はお風呂もありますし、快適な布団で寝ることができます。キャンプ場は水場やトイレやシャワーもあるので、快適に過ごすことができます。
キャンプ場以外での火気は厳禁なので、タバコも含めて禁止です。
主な課題
小川山のボルダリング課題について、Ogawayama Bouldering Area Guideを参考に主なものを紹介していきます。
キャンプ場入口
モルボル
ファンタジー岩の下部の棚の形状をうまく使い、張り出した壁に体を合わせながら登る課題が「モルボル」(初段)です。上部のスローパーが悪く、思い通りに登らせてくれない課題です。
ファンタジー岩の「ベヒーモス」(一級)や「ファイナルファンタジー」(二段)もテクニカルで面白い課題です。
石楠花遊歩道
忘却の河
忘却岩の全体を使って登る課題が「忘却の河」(二段)です。足技を駆使したテクニカルな下部をいかに洗練させるかが問われます。
幻の光
洞窟のような強傾斜からマントルを返していく課題が「幻の光」(三段)です。短い中に難しさが凝縮されている課題です。
神の瞳
はりだした形状を抱え込みながら登る課題が「神の瞳」(一級)です。テクニカルかつ後ろの木が微妙に怖くて面白いラインです。
この他にも「一筆」(初段)、「流れの中に」(一級)、「大いなる河の流れ」(二段)などタイプが違う課題が豊富にあり、様々なクライマーを楽しませてくれます。
キャンプ場
小川山ジャンプ
金峰山荘から八幡沢方面へ上がっていくキャンプ場沿いには目立って大きな岩があります。そのきたない大岩の「小川山ジャンプ」(三段)はダイノ課題のテストピース的な存在です。
水晶スラブ周辺
静かの海
不可能スラブの細かいエッジを使った垂壁から、捉え所のないマントル、スラブまでずっと気が抜けない課題が「静かの海」(二段)です。
この岩には「伴奏者」(四段)や「頭痛」(四段)、「覚醒」(五段)、「豊かの海」(四段)などの超高難度課題がひしめいています。
虹の入江
水晶スラブ周辺エリアにある「虹の入江」(初段)は高度もあり、テクニカルな垂壁課題です。
分岐岩周辺
石の魂
反り立つ壁の細かいホールドを駆使してダイナミックに登る課題が「石の魂」(一級/初段)です。ランジすると初段になり、途中のカチを使うと一級になります。
A.I.T
石の魂の左側の面を、甘いホールドでテクニカルに登る課題が「A.I.T」(初段)です。
MNP
その名の通りトレイルの分岐にある分岐岩にはメンタルも試される「MNP」(一級)があります。
林の中エリア
エイハブ船長
小川山を代表する課題がクジラ岩の「エイハブ船長」(一級)です。一級というグレードの基準となった象徴的な課題です。1980年代には登られており、今でも多くのクライマーがトライして順番待ちができるほどです。
穴社長
エイハブ船長のすぐ左のラインが「穴社長」(二段)です。ポケットで耐えてデッドポイントをする厳しい課題であり、多くのクライマーの目標となっています。
穴社員
穴社長のさらに左のカンテから登っていく課題が「穴社員」(三級)です。三級とは思えないほどムーブがあり、上部も気が抜けません。
緑のマント
エイハブ船長の右側には短いですが難しい「緑のマント」(初段)があります。手も足もホールドが悪く、指の力と足の力も試されます。
グロヴァッツスラブ
エイハブ船長とは反対面にあるスラブ課題が「グロヴァッツスラブ」(初段)です。繊細な足運びが必要とされ高度もあるラインです。
田嶋ハング
エイハブ船長を見たときに真後ろにあるのが「田嶋ハング」(初段)です。低空のトラバースから厳しいマントルをする課題です。
八幡沢周辺
コンケーブ
ヴィクターボルダーの凹角部分を登っていく課題が「コンケーブ」(三級)です。ムーブも面白く人気の課題です。
拝天門主
スティックアウト
拝門天主エリアの下流部にある「スティックアウト」(初段)は体幹が試されるカンテスタートの課題です。
ダイアグラム
強傾斜が特徴的な図示岩の川側のクラックを右上する課題が「ダイアグラム」(一級)です。
礼拝
対岸に渡ったところにある拝門岩にはスラブやカンテなどの課題があります。そのカンテの「礼拝」(二級)はホールドが悪くバランシーです。
守護神
ルーフが特徴的な岩には「守護神」(二段)や「月の砂漠」(一級)などがあります。
ジャコビニ彗星
天主岩は高さが7〜8mはあろうかという巨岩です。右カンテを使って上がっていくラインが「ジャコビニ彗星」(一級)です。
烏帽子岩
トーフ岩トラバース
見た目が四角い豆腐のような岩を一周する課題が「トーフ岩トラバース」(三級)です。
流星
旧林道沿いに大きな岩が3つ固まっており、そのなかで最も大きな岩のカンテを右上する課題が「流星」(初段)です。右側から左上して流星に合流するラインが「濁流」(一級)です。
穴理事長
旧林道を歩いて、枯沢を通り過ぎてさらに上っていくと大きな理事長岩を見つけることができます。その右側のポケットを使っていく課題が「穴理事長」(初段)です。
フェニックス大岩周辺
朱雀門
フェニックスの大岩より少し下流側にある枯沢を少し上がったところにあるのが「朱雀門」(二段)です。悪いホールドからランジするシンプルですが難しい課題です。
リバーは川だ!
朱雀門と同じ枯沢沿いの林道のすぐ下にある岩の棚状のホールドを使っていく課題が「リバーは川だ!」(三級)です。
おすすめ飲食
ROCK
東京方面から来る場合の道中にあるレストランが「ROCK」です。天井が高い広々としたスペースに、ビールサーバーや暖炉があったりと賑やかな雰囲気です。
ビールの種類も豊富ですが、ここはカレーが美味しく一度は食べてみることをおすすめします。
観光客も多く週末は行列ができるほどの人気店ですので、行ってみてはいかがでしょうか。
おすすめ温泉
甲斐大泉パノラマの湯
東京方面から小川山に行く場合、こちらの温泉が道中にあります。
長坂ICから車で10分ちょっとのところにあります。ここのいいところはなんと言っても露天風呂の景色です。遠く南アルプスの山並と富士山を眺めながら入る温泉はとても気持ちがいいものです。
ボリュームのある食事もとることができ、クライミングの疲れを癒すことができるでしょう。
以上小川山の主にボルダリングの課題について紹介してきました。エリアの一部しか紹介できませんでしたが、ぜひトポを買っていろんな課題を登ってみてください。
参考元
- 「小川山 御岳 三峰 ボルダー図集」 通称「黒本」 室井登喜男編
- 「フリークライミング日本100岩場3 甲信・伊豆」山と渓谷社
- 「日本ボルダリングエリア 上」山と渓谷社
- 「Ogawayama Bouldering Area Guide」ダイホールド
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