クライミングのためのストレッチ 手指・前腕

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今回はクライミングで最も重要なパーツでもある手指と前腕のストレッチについて紹介します。

手指を動かす動作

手指の動作には多くの関節と筋肉が関与しており、様々な筋肉が複雑に絡み合っています。指にも第一関節、第二関節、第三関節がありますし、五本の指を別々に動かしたり、手首は曲げたり回転させたりすることもでき、多様で繊細な動作が可能となります。

手指に関する動作としては主に以下のようなものがあります。

  • 手関節の掌屈(屈曲)・背屈(伸展)
  • 手関節の尺屈(内転)・撓屈(外転)
  • 指(親指以外)の屈曲・伸展
  • 指(親指以外)の外転・内転
  • 親指の屈曲・伸展
  • 親指の外転・内転

手関節の掌屈・背屈は手首を曲げたり反らしたりして、手を上下させる動きです。手のひら側に曲げてくるのが掌屈で、手の甲側に曲げるのが背屈です。

手関節の尺屈撓屈は手首を左右方向に傾ける動きです。前腕の尺骨側(小指側)に傾けるのが尺屈で、橈骨側(親指側)に傾けるのが撓屈です。

指(親指以外)の屈曲・伸展は指を曲げてグーを作ったり、指を広げる動きです。

指(親指以外)の外転・内転は指を広げてパーを作ったり、指の間を閉じてくっつける動きです。

親指の屈曲・伸展は親指を手のひらに近づけたり、遠ざけたりする動きです。

親指の外転・内転は親指を人差し指から遠ざけたり、近づける動きです。

親指の屈曲・伸展と外転・内転は似ていますが、親指が動く平面が異なります。

手指の動作に関わる筋肉

以上の動作には実に多くの筋肉が関わってきます。そのうち主なものをいくつか述べていきます。

指を曲げる屈曲や、手首を内側に曲げる手関節の掌屈には、浅指屈筋深指屈筋が関わってきます。そのなかでも浅指屈筋は指の第二関節を、深指屈筋は指の第一関節を曲げるのに使われます。

浅指屈筋は上腕骨の内側上顆と呼ばれるところや尺骨と橈骨を起始としており、手首のあたりで4つに分かれて、指の第一関節と第二関節の間に停止しています。ですので主に指の第二関節、第三関節の屈曲や、手関節の掌屈に関与します。

深指屈筋はその名の通り浅指屈筋の下の深いところに位置しています。尺骨前面を起始としており、浅指屈筋と同様に手首で4つに分かれて指の先端に停止しています。指の屈曲、手関節の掌屈に関与します。

また、手関節の掌屈や尺屈には尺側手根屈筋が関わってきます。尺側手根屈筋は上腕骨の内側上顆を起始としており、手首の内側(小指の付け根付近)に停止しています。

クライミングでよく使われる動作

クライミングにおいて手指が重要なことは言うまでもないでしょう。登っている最中はノーハンドでもなければ手指は使っているので、上記で書いてきて筋肉はすべて使われています。

スローパーなどオープンハンドの場合は特に深指屈筋や尺側手根屈筋が使われます。指全体を軽く曲げた状態で、手首の掌屈を利用してホールドを保持します。

カチなどでアーケ(カチ持ち)をする場合は指の第二関節を極端に曲げますが、この時は特に浅指屈筋が使われます。

ピンチで親指とそれ以外の指で挟み込む場合は、すべての指の屈曲が行われます。この時は浅指屈筋や深指屈筋、長母指屈筋などが使われます。

肘の痛みの原因

以上で見てきたように、クライミングでよく使う筋肉には浅指屈筋、深指屈筋、尺側手根屈筋があります。指を曲げ、握り込み、手首を曲げてホールドを保持する動きに、これらの筋肉が関わってきます。

これらはすべて肘の内側に位置する上腕骨の内側上顆を起始部としています。

すなわちクライミングをしていると肘の内側にずっとストレスがかかっているということです。その結果肘の内側が痛くなることがありますが、これは野球肘やテニス肘と同じ症状で、内側上顆に負担がかかることが原因です。

痛みのあるところをぐりぐり押したりしてほぐすと悪化する可能性がありますし、それでば根本の解決にはなりません。ここを起始としている筋肉全体をほぐしてやる必要があります

手指・前腕のストレッチ

それでは手指・前腕の筋肉をほぐすストレッチを紹介します。

指のストレッチ

右手の人差し指を例に説明していきます。

①手の指を広げた状態(指の伸展状態)から、左手で右手の人差し指を持って固定します。

②持っている人差し指は固定して、他の4本の指を握り込みます。

このとき指と指の間が裂けるような感覚になりますが、痛みが出る場合には無理をしないようにしてください。①と②を繰り返して、指を広げたり伸ばしたりします。これを他の指でも行い、人差し指、中指、薬指、小指で実施して指全体をストレッチします。これにより浅指屈筋と深指屈筋だけでなく、骨間筋や虫様筋など手全体の筋肉もほぐすことができます。

指を曲げる筋肉は浅指屈筋と深指屈筋が主に関与しますが、親指を除く4本の指から伸びている筋繊維は、手首の周辺で一つにつながっています。ですので指の一本一本をはがすようなストレッチをすることで、指の可動域を広げ、けがをしずらくすることができます。

逆に言えば4本の指は連動しているので、独立に動かすことが難しく、このストレッチでは痛みが出る場合もあるのでご注意ください。

手首から前腕のストレッチ

次に手首から前腕にかけての腕全体のストレッチです。これは肘の痛み、とくに肘の内側にある内側上顆の痛みを和らげる効果が期待できるものです。

まず手を前に伸ばして手首を反らせて、手関節の背屈を行います。もう片方の手でその手を持ち、手を反らせて前腕の内側を伸ばすようにします。

こちらの動画には肘の内側の痛みが出る原因と、ストレッチ方法が紹介されていてわかりやすいです。

このストレッチを実行することで、浅指屈筋、深指屈筋、尺側手根屈筋がほぐされて、内側上顆へのストレスを緩和することができます。いわゆる野球肘に効果があると考えられるので試してみてください。


以上手指から前腕にかけてのストレッチを紹介しました。クライミングにおいて非常に重要なパーツですので、しっかりケアをしておきたいです。

また、肘の痛みを防ぐためには、手首へのストレスを緩和するためにリストバンドやテーピングで手首を保護することも有効です。ストレッチと併用して楽しくクライミングができるように試してみてはいかがでしょうか。

参考元

  • 「プロが教える 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典」 ナツメ社

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