今回は前腕の筋肉を鍛えるトレーニングとして、フィンガーカール、リストカール、リバースリストカールの動作や効果について紹介します。
クライミングにとって最も重要な部分の一つである前腕を効果的に鍛える種目です。
指先の力に直結する前腕を鍛えることで、クライミングのパフォーマンスを向上させることができますので、こちらの記事を参考にしてみてください。
フィンガーカール、リストカールの動作
フィンガーカールではダンベルやバーベルを指先に持って、それらを巻き込むようにして持ち上げる動作を行います。これは握力計を握り込む動作に似ています。
さらに手首を掌側に曲げて負荷をかけていく動作がリストカールです。
この時、尺側手根屈筋や腕橈骨筋などの前腕の筋肉が使用されます。
これら指や手首を掌側に屈曲させる動作で使われる前腕の筋肉をまとめて前腕屈筋群と呼びます。
リバースリストカールの動作
リバースリストカールはその名の通り、リストカールとは逆に手の甲側にそらす動きの運動です。
尺側手根伸筋などの前腕伸筋群が収縮することで運動が行われます。
フィンガーカール、リストカール、リバースリストカールで使われる筋肉
フィンガーカール、リストカール、リバースリストカールで使われる筋肉には下記のものがあります。
- 尺側手根屈筋
- 尺側手根伸筋
- 腕橈骨筋
それぞれの筋肉の解剖学的解説と働きを紹介します。
尺側手根屈筋
フィンガーカールやリストカールで鍛えられる主な筋肉として尺側手根屈筋があげられます。
尺側手根屈筋は肘関節と手首の関節をまたぐ多関節筋です。
尺側手根屈筋は前腕の尺骨側(小指側にある骨)を通っており、肘関節と手首をまたいでいます。
尺側手根屈筋の働きには、手関節の尺屈と掌屈があります。
手関節の尺屈は手首を小指側に曲げる動きです。
手関節の掌屈はそれとは角度が90度異なっており、手首を手のひら側に曲げておいでをするような動きです。
尺側手根伸筋
尺側手根伸筋も尺側手根屈筋と同様に肘関節と手首の関節をまたぐ多関節筋です。
尺側主根伸筋は尺側手根屈筋と同様に前腕の尺骨側を通っていますが、手の甲側を走っています。上腕骨の外側(外側上顆)を起始部として、小指の付け根の手の甲側に停止しています。
尺側手根伸筋の働きには、手関節の橈屈と背屈があります。
手関節の橈屈は手首を親指側、前腕の橈骨側に曲げてくる動きです。
手関節の背屈は手の甲側に手首を曲げる動作です。
尺側手根伸筋は尺則手根屈筋と協調して動作する一対となった筋肉です。
腕橈骨筋
腕橈骨筋は上腕骨の外側上顆の少し上のあたりを起始部として、橈骨の先端近くに停止しています。
腕橈骨筋の働きには肘関節の屈曲、前腕の回外と回内があります。
肘関節の屈曲は、腕を曲げて力こぶを作る動作です。
前腕の回外は、手のひらが上を向くように腕をひねる動作です。回内は逆の方向に腕をひねります。
以上のようにフィンガーカール、リストカール、リーバースリストカールで使用する筋肉は、手関節の複雑な動作を可能にしています。
フィンガーカール、リストカールのやり方
ダンベルを用いたフィンガーカール、リストカールの実施方法を説明します。立った姿勢でも座った状態でも基本的な動作は同じです。
まずはリストカールの実施方法です。
ダンベルを持った腕をベンチなどにつけ、手のひらが上側を向く状態から始めます。そこから、手首を曲げてダンベルを上げていきます。
ダンベルを下げるときはしっかりと手首を反らせてストレッチをかけましょう。両手にダンベルを持ってベンチに座って上体を前に倒した状態がスタートポジションです。
フィンガーカールについてはリストカールと似た動きで、ダンベルのシャフトを指の腹の上を転がすようにして、指を曲げ伸ばしします。
フィンガーカールもリストカールも動く距離が短いので、負荷が足りないように感じるかもしれません。
重さを追求するよりも回数を多くする方が効果的です。20回〜30回を目安に回数を調整していきましょう。
リバースリストカールのやり方
次は手首をそらすリバースリストカールの実施方法を紹介します。
リストカールとは逆で、手のひらが下に向くように腕をベンチに乗せます。
そこから手首を反らしてダンベルを上にあげます。ダンベルを下げるときしっかりストレッチさせるようにしましょう。
リストカールと同じようの20回〜30回程度できるような回数で実施しましょう。d
以上フィンガーカール、リストカール、リバースリストカールで鍛えられる筋肉、実施方法について紹介しました。
解剖学的に筋肉や動作を意識することで、トレーニングの効率がより高まりますのでこの記事が参考になれば幸いです。
参考元
- 「プロが教える 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典」 ナツメ社
- 「石井直方の筋肉の科学」ベースボール・マガジン社
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