クライミングでアウトドアに行く際の火気使用の注意点と対策

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クライミングでアウトドアに行く際に火気の使用に気を付けなければいけません。場所によっては明確に火気使用禁止をうたっているエリアもありますが、そうではないところもあります。そういう場合にはどのような点に気を付ければいいのでしょうか。火の元の分類や注意事項についてまとめてみましたので参考になれば幸いです。

火気とは

まずそもそも火気とは一体なんでしょうか。

http://www.ibakhk.or.jp/pdf/kaki-B.pdf

こちらのサイトによればライターやマッチ、タバコやストーブなど、裸火そのものを指します。

少し似た言葉で”火器”というものがありますが、これは火薬を利用した武器のことを言いますのでクライミングには関係ないでしょう。

Wikipedia
火器

クライミングやキャンプなどで登場する火気というと、調理や暖をとるために使用されるバーナーコンロバーベキューの炭火焚き火チャッカマンなどがあります。

また、ライターたばこも火そのものですので火気に該当します。

カイロは熱を持ちますが火ではないので火気には該当しません。ただし、最近出てきているバッテリ方式のカイロは、電気製品という意味で火花が散る可能性があり火気に該当するかもしれません。バッテリやスマホなどの電気製品によって、もし万が一火事を起こすなどの実害を発生させてしまえば、こういったものにも厳しい目が向けられる可能性があります。

火気使用に関する法律

クライミングエリアでの火気の使用について、法律上の制限などはあるのでしょうか。例えば多くの山は国立公園国定公園に該当しますが、その場合は自然公園法が適用されます。

その第二一条には以下のように書かれています。

”環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の景観を維持するため、特に必要があるときは、公園計画に基づいて、特別地域内に特別保護地区を指定することができる。
 ・・・
 特別保護地区内においては、次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。
 ・・・
 火入れ又はたき火をすること。

火入れというものが裸火の使用に該当すると解釈できるので、特別保護地区に指定されている場合は火気の使用は禁止されているということです。

これ以外にも各都道府県や市区町村の条例や、私有地であれば所有者の意向で個別のエリアごとに火気の使用が禁止されていることが多くありますので、事前に確認しましょう。

明確に法律で規定されていないとしても、例えば自分の家の庭に他人が入ってきて、勝手に焚き火をしたりバーナーでお湯を沸かしたり、タバコを吸っていたらいい気分はしないと思います。そういった想像を働かせて火気の使用には慎重になりましょう。

火気使用時の注意事項

岩場に行って火気を使用する場合の注意点は何でしょうか。

まずテントサイトなど整備された場所以外では焚き火は避けるべきです。寒い日に山にくると、ついつい落ち葉や枯れ木を集めて火をつけたくなりますが、風に煽られて火の粉が散らばる危険性もありますし、焦げ跡が残って植生が荒れたりしてしまいます。昔は焚き火も普通だと聞きますが、今ではバーナーなどの道具も充実してきたので積極的に利用しましょう。

特に秋冬は落ち葉が多くなりますし、空気が乾燥しているので燃えやすい条件が揃っていますので注意しましょう。

バーナーについては焚き火に比べて安全で便利とはいっても、気をつけるべき点は多いです。バーナーに鍋などを乗せると結構不安定になります。使用する前に土をならして土台を安定させたり、平らな岩盤の上で使用するなど安定性を確認しましょう。鍋を載せる場所を広げたときに、大きく広げられるバーナーを選ぶことも大切です。

また、バーナーが風に煽られて倒れることを防ぐためにフードをつけたり、風よけの壁を作ることも有効です。

よくクライミングエリアでタバコを吸っている人を見ることがあります。焚き火やバーナーと比べると、控えめなのでタバコは火気だという意識をなくしがちです。

ライターで火を着けてタバコ自体も燃えているので、間違いなく火元だということを認識する必要があります。タバコの火の粉が飛んで枯れ葉などに燃え移って山火事になる事例もあります。明確にタバコ禁止と書いていなくてもタバコは火気であるということを意識しましょう。少なくとも携帯灰皿を持参することは最低限のマナーです。

エリア別の注意事項

では具体的にそれぞれのクライミングエリアではどのような注意事項があるでしょうか。

小川山

国立公園の特別保護地区に指定されている場所もあるので、火気の使用には注意です。キャンプ場以外の場所では火気の使用は禁止されています。これはタバコも含めてなので注意してください。

瑞牆

瑞牆に関しても小川山と同様に国立公園の特別保護地区に指定されているので、火気の使用は禁止です。

JFAの利用案内によると、キャンプ場では直火が禁止されており、焚き火台、ガスコンロ、BBQ セットの使用が推奨されています。

https://freeclimb.jp/news/data/2012/mizugaki_riyou.pdf

御岳

御岳に関しては特に火気について注意は見たことがありません。(注意書きがありましたらすみません)

一般的に河原はどうかというと自然保護地区に指定されていなければ火気の使用は問題ないように思います。水も近くにあるので何かあった場合には消火しやすいということもあるでしょう。城ヶ崎などの海岸のボルダーにも同じことが言えます。

御岳に関していうと河原でバーベキューをする一般の方もよく見かけますし、タバコを一服している観光客も多くいるので、バーナーやコンロでお湯を沸かすなど問題はないでしょう。

クライマー以外にハイキング客やカヌー、ラフティングをする方々なども多くいますので、節度をもった行動をすることを心がけましょう。

湯河原

湯河原のクライミングエリアは湯河原幕岩公園という公園内にあります。ですのでクライマー以外も訪れますし、特に毎年2月〜3月にかけて行われる「梅の宴」という祭りの時期は、多くの観光客がきます。この公園は湯河原町の条例によりタバコも含めて火気の使用が禁止されています。

日本フリークライミング協会
湯河原幕岩(幕山公園)は湯河原町条例により、火気の使用は禁止です。喫煙も不可ですのでご注意ください。 (梅の宴期間中は場内で喫煙所が設けられますので、喫煙者の方はそちらをご利用ください)

アクセス問題に発展するということもありますが、一旦山火事を発生させてしまうと自然が失われてしまうということを意識して行動しましょう。

火気を使わないために

ここまでクライミングエリアでの火気に関する注意事項を書いてきました。それでもやはり山で食べるインスタントラーメンや、クライミングの合間に飲むコーヒーは格別です。それらを楽しむための工夫を紹介します。

山でバーナーやコンロを使わないためには、コーヒーやお茶は家で淹れていきましょう。保温ができる水筒にコーヒーなどを入れていけば、時間が経っても山で熱いまま飲むことができます。

家で淹れていくことで、ガスカートリッジやバーナーなどの荷物を減らして軽量化することにもなるので一石二鳥です。

インスタントのコーヒーやティーバッグを持っていけば、山の中で淹れたての温かい飲み物を飲むこともできます。

さらにお湯があればカップラーメンも簡単に作ることができます。

繰り返しになりますが、タバコは気軽に吸えますし、他の人が吸っていることを見かけることもあるのでついつい吸ってしまいます。しかしタバコも火気に該当するので、山火事のリスクを考えるとタバコを吸うのはやめましょう。

また、ガスバーナーを使った暖房も便利で持っていく人もいるでしょう。寒い山の中で手を温めたり、シューズを温めて柔らかくしフリクションをあげることもできます。その代わりとしてはカイロで暖を取るなどして、火気を持ちこまないようにすることもできます。


以上アウトドアでのクライミングでの火気使用に関する記事でした。環境的な面からも、アクセス問題という観点からも、クライミングのフィールドを守るための行動を心がけるようにしましょう。今回の記事がその一助になれば幸いです。

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