アウトドアでクライミングをしているときの安全対策

How to
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今回は自然の岩場でクライミングをしている際に安全上注意すべきことと、その対策を紹介します。

以前アプローチでの安全対策を書いた時と同様に、リスクを「危険状態」と「危険源」で分けて説明したいます。

クライミングのアプローチでの安全対策
今回は岩場に行くときのアプローチでの危険の原因と安全対策を紹介していきます。ここでいうアプローチは山の入り口から岩場までだったり、駐車場や道路から岩場までの道のことを言います。ですので車や電車での移動や家の周辺などは除いて考えます...

危険源というのはその事故や状態が発生する原因となるものです。その危険源があることによってクライマーが陥る状態が危険状態です。

本記事ではさらにクライミング中に関係する危険源への対策も考えていきます。

クライミング中の危険状態

クライミングをしている際の危険状態としては怪我もしくは体調不良が主なものになります。

その中でも捻挫や打撲、骨折といった結果が発生することが多いことはクライマーであれば経験からよくわかるかもしれません。

怪我

クライミング中の怪我というと捻挫や打撲、骨折までさまざまな危険状態が発生することが考えられます。

岩や木の枝などの落下物が原因で怪我をしたり、リードクライミングで振られて壁に激突する、ボルダリングで着地時に怪我をするなどいろんな怪我の原因が考えられます。

体調不良

また、クライミング中の体調不良も危険状態として考えられます。頭痛や発熱、倦怠感などが結果として起こりますが、クライミングが直接影響するというよりも、それまでのコンディショニングの部分が影響することがほとんどです。

例えば食事を十分にとらなかったり、睡眠が不足していたりと、クライミング以前の準備ができていないということが考えられます。

怪我の危険源と安全対策

石や道具の落下

怪我の危険源として考えられるのは、石や道具が落下してくるというものです。

岩場で登るという性質上避けられないのが落石です。自然の風化によって岩が剥がれたり、持っているホールドが壊れるなど、なんの予兆もなく落下してくる場合があります。

また、クライマーが持っているヌンチャクチョークバッグが落ちてしまうこともありますし、ボルトが抜けて落ちてくることもあります。

これらは避けるのが難しいですが、対策としてヘルメットや帽子を着用することで被害を軽減することができます。頭部は集中的に守っておきたいところです。

道具の劣化、不備

クライミングに使用する道具の不備や故障が危険源になる場合があります。

リードクライミング中にボルトが外れたりロープが切れてしまうことにより、大きく振られたりグランドフォールをして怪我につながります。

また、ボルダリングにおいては着地した時にマットが薄くなっていたり、中の緩衝材が偏っている状態が発生することで怪我をする場合もあります。

ボルトなどは自分の道具ではありませんが、登る前に劣化を確認したり、インターネットなどで情報が出ている場合もあるので事前に調べていくことも有効です。

ロープやハーネス、マットなどは常にメンテナンスをして傷や穴などがないことを確認していきましょう。不安であれば二重三重の対策が有効です。

リードクライミングでの落下時の振られ

リードクライミングでありがちなのは、予期せぬ方向に振られて壁に強く激突することです。横にトラバースしていたり、ランナウトをしている時に落下すると、大きく振られて勢いよく壁に衝突してしまいます。

また、クライマーがフォールしたときにビレイヤーが過敏に反応して、ロープに強いテンションをかけてしまうとロープのたわみがなくなり、クライマーが壁に強く打ち付けられることにもなります。

これらを防止するために、ある程度ロープは余裕を持って繰り出しておくことが有効です。また、オブザーベーションをしっかりとして、大きく振られる可能性のあるルートは登らないという選択をするということも一つの手段です。

ボルダリングでの着地

ボルダリングの場合は落下=グランドフォールなので下地への注意が必要です。地面が岩盤で固い場合や、石が積み重なっていたり木の根っこがあって凹凸がある場合は着地の衝撃で捻挫などを起こす場合があります。

対策としては落下地点を予測してクラッシュパッドを敷く、十分な厚みのあるものを使う、無理な体勢で落ちないなどが考えられます。段差をなくすためにクラッシュパッドをうまく重ねて配置することも有効です。

多くの経験が必要なので徐々に慣れていくことが重要だと思います。

周りのクライマー

クライマーが振られて落下したときに周囲の人に衝突することが考えられます。

リードクライミングで登り始めて1ピン目など、最初の方で落下した場合は地上近くまでクライマーが落ちてくる場合があります。このときに、ビレイヤーや下で待機している人と衝突してしまうことがあります。

ボルダリングでも落下した際に近くにいる人に当たって怪我をする場合があります。ランジで思いのほか振られてしまったり、すっぽ抜けて不用意な体勢で落下して、人にぶつかることがあります。

登る前には近くに人がいないことを確認する、変な体勢で落ちない様に無理をしないことが重要です。

また、スポットがうまくいかず怪我をする場合もあります。クライマーが勢いよく落ちてきたり、変な体勢で落下してくるとうまくスポットができず、スポッターが怪我をする場合があります。

体重や経験の差がある場合は、着地をクライマーに委ねてスポットをしないというのも一つの手段です。

体調不良の危険源と安全対策

栄養不足

体調不良の原因として食事を抜いてしまうことが考えられます。クライミングに行く日は朝早くに起きることが多いので、朝食をゆっくり食べる時間もないでしょう。

また、クライミングの特性として体重が軽い方が登れたりするので、クライミング当日はあえて食事を控えめにするときもあるでしょう。

しかし、やはりクライミングも運動ですしエネルギーを消費しますので、空腹の状態では力が出ないだけでなく、栄養不足に伴う体調不良が発生してしまいます。

対策としてしっかり栄養のあるものを食べることや、行動食を携行してこまめに栄養補給をすることが有効です。

また、見落としがちですが水も多めに摂取する様にしましょう。意外と汗をかいていて、気づかない間に脱水症状となる場合もあるからです。

休養不足

また、休養不足というのも体調不良につながります。最も顕著なのは睡眠不足で、前日遅くまで起きていたのにクライミングにいくために早起きとなると睡眠時間は削られます。

これによって体調不良を起こす場合もありますし、正常な動作ができずにムーブが雑になったりして怪我につながる場合もあります。

また、オーバーワークによって体が回復していないのに十分な休養がとれず、倦怠感を抱えたままクライミングをする場合も危険です。

やはり食事、睡眠、運動の適度なバランスをとることが重要です。

アレルギー

クライミングのために山に入って急に体調が悪くなるときはアレルギー反応の場合もあります。スギやヒノキといった一般的な花粉症だけでなく、特定の地域にしか生えていない植物の花粉などでアレルギー反応を起こす場合もあります。

事前にアレルギーチェックをして、その植物が生えている場所を把握をしておくと安心かもしれません。

また、ハチやアブなどの昆虫に刺されて腫れたりすることもあります。ひどい時にはアナフィラキシーショックを起こして命に関わることもあるので注意です。

虫の出やすい夏から秋にかけては特に虫除けスプレーを常備しておくなど対策が有効です。また、虫に遭遇したときは刺激をしないようにしましょう。

アレルギーとはまた少し違いますが、ツタウルシなどの植物に触れてしまうことで、かぶれてかゆみが止まらないといったこともあります。ですので不用意に植物に触らないことも重要です。

落下の衝撃

リードクライミングにおいてもボルダリングでも、落下した際の衝撃で脳震盪を起こして、体調に変化が現れることもあります。

落下の直後は問題なくても、時間が立ってから目眩や嘔吐をすると行った反応が出ることもあるので注意です。

無理なトライはしない、ボルダリングではしっかりと吸収性のあるクラッシュパッドを使用するなど対策をしましょう。

怪我をしてしまったときの対処

捻挫や出血などの怪我をした場合には、RICE法と呼ばれる方法が有効です。これは応急手当ての手順を示した英単語の頭文字をとったものです。

  • Rest:安静にする
  • Ice:冷却する
  • Compression:圧迫する
  • Elevation:拳上する

怪我をした場合、まずは安静(Rest)にすることが第一です。体力を温存するとともに傷口が広がることを防止します。

そして患部を冷却(Ice)して炎症が広がることを防ぎます。近くにコンビニなどがあれば氷を入手することが望ましいですが、なければ川の水などで冷しましょう。ただし雑菌が入るのは防ぎましょう。

そして出血の場合は患部から心臓に近い側を圧迫(Compression)して、血液を制限することで出血を減らしましょう。あまり強く圧迫すると鬱血してしまいますのでほどほどの力で抑えましょう。

最後に患部を心臓より高い位置に拳上する(Elevation)ことで血流を減らし、出血と炎症の拡大を防ぎます。

体調不良の場合は安静にするのが第一です。動いてしまうとさらに体調が悪くなってしまいます。

怪我にしても体調不良にしても無理をしないでレスキューを呼ぶ様にした方が、後々のダメージを最小限に抑えることになります。遠慮することが命取りになることもあるので、勇気ある行動をしましょう。


以上クライミング中の安全対策として、その危険状態と危険源、そしてそれらの対策を紹介しました。

危険源を知っていることで防げる怪我や体調不良もあると思いますので、この記事が参考になれば幸いです。

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